流石に「コレは違うな」と思った瞬間

 http://www.ne.jp/asahi/comp/tarusan/main174.htm


 ここで、ポラックの法則を思い出していただきたい。 もし仮に8コアと同じダイ面積の
 シングルコアCPUが製造できたとしたら、その推定性能はどれくらいになるだろうか?

 それは80.5=2.82だから2.82倍である。 シングルコアでもCPU性能が直接結果に
 反映すると仮定すればの話だが、 ロスト・プラネットというバリバリにマルチスレッド対応した
 次世代ソフトですら同一ダイサイズのシングルコアCPUにかなわないのである。
 (まして、そこまでのマルチスレッド対応を果たしていない現状のアプリでは...
 書くまでもないことだろう。)

 詐欺師理論に近い。"ポラックの法則"を持ち出しておいて、実際にはありえない
 "8コアと同じダイ面積のシングルコアCPUが製造できたとしたら"ときた。
 まず、"それだけのサイズのシングルコアCPUのトランジスタ用途"が不明すぎる。
 ありえない仮定を持ち出すのは論外だ。
 事実、後半で

 しかし、 「Reinventing Computing」 - スパコン界の巨人・Burton Smith博士 という記事に
 書かれている通り、3つの壁の存在によりCPUコア単体の性能はもはや上げられないのだそうだ。
  同記事から引用すると下記の通りである。 (余談だが、Burton Smith先生もマルチコア最大の
  問題点はソフトの並列性にあるという意見である。)

 1.1サイクルに同時実行できる命令数の飽和(ILP Wall)
 2.消費電力の制約(Power Wall)
 3.メモリ性能の制約(Memory Wall)

 1コア辺りの性能は頭打ちになっている、という内容を挙げている。この3つは確かに
 全て現実的な問題になっている(いた)。
 仮定に対して矛盾が発生しているのにフォローもない。


 ついでに文句を言うと、ロスプラが4コアで頭打ちになってる話をしている。
 以前書いたけど、
 http://www.4gamer.net/specials/capcom_x_intel/capcom_x_intel_01.shtml
 ここで、その内容について言及している。C2Qの2コア/2ダイ間のL2同期が
 ネックになっている、と。(特にIntelはL2同期がFSBを経由する為)
 これは8コアになると(Xeonでは)より顕著になる。
 このことに何も触れないのはフェアじゃない。
 つまり"マルチコア自体"が悪いのではなく"マルチコアの実装"「も」悪いのであり、
 特筆するべき項目である。
 ココから導きだされる事は、現状の作りでは8コアはPC用途ではまだ有用ではない、という程度だ。
 とてもシングルがベスト、という解にはならない。
 (現状、とはせいぜいネィティブ4コア+外部接続(HTなど)を通した構成しかない事を示す。)


 私は割とこの人の強引な理論とか予想とか好きなので読ませてもらっているが、
 今回のはかなり同意も理解も出来ない。
 確かに、マルチコアCPUが(特にIntelにとって)現時点で妥協的な選択だったのは
 確かであるが、現実問題として、シングルコアCPUをこれ以上継続・発展させる
 要素がほとんどないのにマルチコアCPUがPCに向かない、と断絶するのはただの
 自己満足である。